1月

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冬の庭仕事 
薔薇剪定枝堆肥化作戦


2002.1.23
「薔薇剪定枝堆肥化作戦」

薔薇の剪定と誘引が一段落、ぽかぽかと暖かい休日の昼下がりふと思いついて、倉庫から七輪を持ち出した。冬の庭仕事で切った薔薇の太い枝や木々の剪定枝が程よく乾いてきている。これを庭で燃やすことはできないだろうか。以前、バーベキューコンロで試みたことがあったが、火の勢いが強くなりすぎて即座に断念。住宅地では、火を焚くことは、かなり勇気がいる。
七輪にまず、新聞紙を入れて火をつけてみる。火の勢いがあるうちに小枝から恐る恐る入れていく。ところが、煙が目に染みてつらいだけでなかなか思うように火はうつらない。何度も試みてもうだめかと思ったそのときに乾いた小枝がぱちぱちと燃え出した。火は生き物、ほんの少しの手入れの仕方で燃え方がぜんぜん違う。火と対話するような気持ちで、木の位置を直し、少しづつ枝をくべていく。小さな七輪でもずいぶん役にたつものだ。小さいからこそ、こんな狭い庭でも安心して焚き火ができる。1時間ほどで、剪定枝を半分ほど燃やすことができた。枝は綺麗な細かい炭になっている。これなら、庭に撒くのにちょうどいい。炭は土の中の有用な微生物を増やすのにかかせない資材。この調子で週末ごとに何度か焚き火ができれば、今年は、庭用の炭を買ってこなくても済むかもしれない。
火が消えても七輪の回りはぽかぽかと暖かい。炭が熱いうちに、サツマイモをホイルに包んでうずめておく。

冬の庭仕事で出た薔薇の細い剪定枝は、2週間ほど前に米ぬかと土を混ぜて堆肥バケツに漬けこんでおいた。しばらくぶりに堆肥バケツの蓋を開けると、一面、雪のように真白、美しい菌糸で厚く覆われている。こんなに綺麗にしっかりと菌糸がはったのを見たのは初めてである。剪定しなければ、その枝から春、たわわに咲いたであろう、そのパワーが今菌糸の形で現れた、そんな感じ。薔薇の枝や葉にはたくさんの栄養が詰まっているのかもしれない。堆肥となり土に返すことができれば、薔薇にとって最高の栄養となるかもしれない。

今まで薔薇の剪定枝は、すべて刺が飛び出ないよう注意深く袋に詰めて捨てていた。でも、工夫次第で土に返すことができるのなら、それが一番良い方法と思える。私の庭での無農薬の試み、新しい道筋がまたひとつ見えてきた。


2002.1.8
「冬の庭仕事」

冬は、ガーデナーにとって最も忙しい季節である。

まずは、薔薇の元肥。12月の半ば過ぎ、生ごみ堆肥と大量のカニガラ、そして米ぬか5キロを庭全体に施した。堆肥は土中の微生物の餌となり、土を肥やす。カニガラは、薔薇にとってよい微生物を増やす働きをしてくれる。そして米ぬかは、その微生物を増やす起爆剤になってくれるという。この3つは、庭土の表層に軽く混ぜ込んでおく。微生物が働くためには、新鮮な空気が必要と考えたからだ。最後に薄めた木酢液を土全体に散布。これだけで丸一日かかった。

次に、鉢薔薇の植え替え。これは毎年元日に行うことに決めている。そっと根を痛めないように鉢から薔薇を抜く。土を落とし、根を洗い、新しい用土を使って植えこんでいく。用土は、薔薇用として売られているものに、カニガラとクンタンを混ぜたものを使った。鉢ぞこには、炭を砕いて入れておく。炭は、根をよく張らせるという。今まで10号鉢で育てていたHTを、今年はあえて8号鉢に植え替えた。毎年植えかえるのであれば、これくらいの鉢で十分と判断したことと、やはり省スペースを狙って。古い土は、シートに平らに広げ、寒風にあてて乾かしておく。堆肥作りに使用するためだ。

そして、つる薔薇の誘引&剪定、大仕事だけに正月休みの間にぜひ済ませておきたい。
1日目、最初に、キング、刺が無い一季咲きの小輪薔薇だ。玄関の塀に「つ」の字に曲げて誘引した。春、お客様はまずこの薔薇の強いローズピンクに迎えられる。
次にとりかかったのは、コーネリア、駐車場を囲むトレリスで咲かせている。まだたくさんついている蕾や花柄を思い切りよく切り、古い枝を落としていく。もっとスペースがあれば、枝をたっぷり残せるのだが。残った勢いのよいシュートをほんの数本、トレリスに沿って誘引する。1本はリビングからもよく見える位置に持ってくるようにした。コーネリアとともに咲くイングリッシュローズ達も、半分くらいの高さに切り戻した。これもまだ花が付いているが、こうやって休眠させることも必要、と自分に言い聞かせて。
コーネリアの隣にある一重の原種薔薇コンプリカータは、つる薔薇のように何本もシュートが茂っている。これも長いシュートを3本残し、後は、1.2メートル位のところでばっさり切る。放任すれば夥しい花を咲かせるのだが、これも狭い庭に合わせての剪定だ。残したシュートは、木に絡ませたり、コーネリアと一緒に咲く位置に誘引して演出する。
アーチでは、まだバタースコッチが花をつけている。花枝を2芽〜3芽程度残してこれも剪定、アーチの姿を整える。長く伸びたシュートは、アーチに隣接した南側のトレリスに下にひっぱるように誘引した。バタースコッチと合わせる予定で昨年から育てているアリスターステラグレイのシュートは、思い通り、アーチの頂上まで伸びてくれた。細い枝を麻紐でアーチに沿わせていく。バタースコッチの茶色い色と、アリスターステラグレイの淡いクリームイエローがアーチの上で響き合うように咲いてくれるように。
アリスターステラグレイの隣では、去年植えたソンブロイユのシュートが長く伸びている。この枝もとりあえずアーチに向かって斜めに誘引。美しい白い大輪花が今年は咲いてくれるだろうか。
そして2日目の作業。家の西壁に沿わせているマダムアルフレッドキャリエール、これは10月に仮誘引したのだが、もう少し枝を広げてやったほうがよさそうだ。いよいよはしごが登場。玄関先にも針金を張り、そこに枝を数本持ってくる。5月、玄関の扉を開けると上からキャリエールの優雅な香りが降ってくるだろうか。残りの枝は、西壁にさらに斜めになるよう誘引しなおす。キャリエールの隣はマダムイザークぺレール。咲き競うように誘引する。そしてその間にオドラータ。清楚なこの花が二つの豪華なマダムの間を取り持ってくれるように。
そして、出窓をはさんでもう一箇所西壁に誘引したのは、エメヴィベール。空中でふんわり咲くよう、あえて枝の中程を針金に結わえておく。エメの花枝が伸びていきそうな壁に、つる薔薇のようにシュートが長く伸びたフロリバンダのマガリを誘引した。

切った枝が、庭の真中でまるで小山のように盛り上がっている。はさみで切れる程度の枝葉は、適当な長さに刻んで、みんな堆肥バケツに入れることにした。鉢薔薇の植え替えで出た古土と米ぬかをサンドイッチ状に入れ、漬込んでいく。仕上げは上から薄めた木酢液をかけて適度に湿らせた。多分完全に分解するにはかなりの時間がかかるだろう。今まで、薔薇の剪定枝は、みんなごみに出していた。しかし、スペースの関係でやむなく切った剪定枝にびっしりついている芽を見ていると、この枝にたっぷりと蓄えられたエネルギーを感じる。これをみすみす捨ててしまうなんてもったいない、元を正せば、1年間せっせと土に養分をつぎ込んだ成果にほかならないのだ。薔薇は枝に養分を蓄えるとも聞いている。ならば、これも土に返そう、当然のことではないだろうか…。

「現代農業」という雑誌に、薔薇の剪定枝をそのまま薔薇の株元に置き、米ぬかを振り掛けて土ごと発酵させている薔薇専門の栽培業者が紹介されていたことがある。記事によると、そうやって育てられた薔薇は病気にもなりにくいそうだ。狭い庭では、この話のように土ごと発酵させるは難しいが、堆肥バケツを使っての応用は試してみる価値がありそうだ。

2月始めには、ブッシュローズの剪定もしなければ、芽だし肥も有機だから早めがやはりよいだろう。木酢液も濃いものを冬のうちに撒いておいたほうがいい。フレームの中ですくすく大きくなっている苗達は、そろそろ鉢緩めが必要。

訪れる小鳥達のためにみかんとひまわりの種を置いて、冬の一日はあっという間に暮れて。あれこれ計画を頭の中で立てながら、夕暮れの庭を眺める。冬の庭にはすべてがある。

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