7月〜8月


「微生物の力」 「夏の庭仕事」



2001.8.25(ようやく夏が戻ってきて)
「夏の庭仕事」

 東京では、8月に入って冷夏と思うほど曇りがちの日が続いた。立秋との暦通り、秋がやってきたかのように。上旬から、夏の庭仕事を始めた方がよいのかどうか迷いながらも、結局例年通り、旧盆の帰省後に行うことになった。

 パンジーとビオラの種まき、これは、帰省から帰って早速翌日21日に。小雨に乗じて室内で作業を行った。小さな平鉢に種まき用土を入れ、一粒づつ爪楊枝を使って蒔いていく。用土には、クンタンとマグアンプをブレンドしてある。クンタンは根ぐされや立ち枯れを防ぎ、マグアンプは、兆度発芽して根を伸ばし始めたころから効き始め、苗の成長を早めてくれる。蒔いて3日たってもう白い根が見え始めた。置いた場所は北側の玄関内。台風や夕立が来ても安心だ。適度な明るさもある。夫に狭いと言われながらもほんの1週間ほどは辛抱していただく。日中暑い時間は、エアコンを効かせて。小さな家の利点は、玄関まで冷気が届くこと。順調な発芽が嬉しい。

 次にやるべき仕事は、バラへの夏の元肥。秋バラを咲かせるための大切な作業だ。今年は、8月上旬に、いつものバイオゴールドと骨粉を株もとに施しておいた。そして、昨日今日と撒いたのは、米ぬか・カニガラ・ようりん・クンタン・バラの肥料をブレンドしたもの、そして市販の堆肥である。ブレンドした米ぬかは、シャベルですくって1〜2はい、株もとに撒いて手袋をした手で表層の土に軽く混ぜこんでいく。深さは2〜3cm。充分に空気と触れ合えるように。この米ぬかを起爆剤として、秋にまた微生物が土を肥やしてくれることを願って。市販の堆肥は、土の表面にごく薄くマルチング。有用な微生物が含まれている堆肥だという。最後に充分に潅水して作業を終える。

 夏の庭仕事には、もうひとつ、バラの夏剪定という作業がある。これは、8月の末から9月の始めにかけて少しづつ行っていく。剪定の時期が開花の時期に影響するという。ほんの1日2日の差も重要なのだとか。せっかちな私は、もう、イングリッシュローズの剪定に取りかかってしまった。その結果少し早めに咲き出しても、近頃の東京の晩秋は暖かく、きっと12月頃までは繰り返し咲き続けてくれるだろうから。時期を選ぶのも試行錯誤だが、剪定すべき枝を見出すことは、さらに難しい。結果を見越して鋏をふるえるようになるのはいつのことか。

 今年は黒点病がとてもおとなしく、バラの枝にたくさん葉が残っている。小さな蕾を剪定とともに切ってしまった庭は、緑ばかり。小さな苗だった白樺がずいぶん太く立派な幹に成長していて。ニセアカシアのフリーシアも大きく枝を広げ、もう日よけのパラソルは必要ない。セダムオータムジョイの蕾が膨らんでいる。ヒメリンゴも赤く色付いて。秋は、もうすぐそこだ。



2001.7.15 (やっと梅雨明けが発表されて)
「微生物の力」

 7月に入って東京ではほとんど雨が降らない日が続いている。雨の季節は、とっくにどこかに行ってしまっていた。梅雨明けの発表も何か空々しく聞こえて。しかし、その日からにわかに蝉も鳴き始めた。不思議な一致である。

 夕方の水やり、それは蚊との闘いでもある。園芸用のゴム靴をはいてくるぶしを覆い、長袖長ズボン、手袋もしておいた方が安心である。それでも、彼らはわずかに露出している顔や首筋まで狙ってくる。かゆみ止めには、レモンバームを焼酎に浸して作ったチンキがよく効く。今や家族の必需品だ。

 あまりに、雨が降らないので、過保護とも思いながらも地植えのバラにも入念に水をやる。水は、地表を流れることは無く、まっすぐ一直線に土の深いところへと染み込んでいく。よく土の状態を観察すると、まるで赤玉土のよう。(左写真)しかし、赤玉土なぞ撒いた覚えはない。この見事に団粒化した土は、いったい何がそうさせたのだろうか。今年は花後のお礼肥えとして肥料と生ゴミ堆肥のほかに米ぬかを撒いた。肥料も生ゴミ堆肥もあっという間にこなれて姿を消し、そのあとに、このような団粒化された土が残ったのだ。それと、もうひとつ。過酷な気候にも関わらず今年は、黒点もなぜかおとなしい。これも、この土の変化が関係しているのだろうか。

 「現代農業 2000年10月号 土肥特集」によると、米ぬかを表面施用すると、土が菌によって上から耕されて肥沃化するのだと言う。春、桜が咲くころ、夏は入梅のころ、秋は八月下旬、冬は木々が落葉する前にそれぞれ菌の種類が偏移して活発になっていくので、米ぬかでそれを応援してやるといいとのこと。そこで、今年は、そのとおり忠実に米ぬかの表面散布を試みている。盛夏期には、枯草菌という菌が活発に活動し、土を分解しながらどんどん下へもぐっていき、ねばねばの分解酵素を出して土を団粒化させるのだそうだ。うちの庭土もその通りになったということなのだろう。黒点がおとなしいのも、有用な微生物でいっぱいになった土の状態が影響しているのかもしれない。

 ただ、土に病原菌や雑菌が多く、米ぬかなどの未熟有機物がこれらを増やすような土壌では、いきなり大量の米ぬかを使うと害になることもあるそうだ。そこで、今年は、一株につきほんのひとにぎりずつの米ぬかを撒くようにした。今のところ、めだった害は感じていない。また、米ぬかは堆肥の効果を高める働きもするという。生ゴミ堆肥を同時に撒いたのもこの点に考慮してである。

 右の写真は、堆肥と肥料は撒いたものの、米ぬかを撒くのを忘れてしまった土の表面である。上の写真とは全く違って、まだ肥料はほとんど分解されていないし、土も団粒化していない。この2枚の写真が、何よりも米ぬかそして微生物のパワーを物語ってくれている。

inserted by FC2 system