3月〜4月


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米ぬかパワー
シジュウカラふたたび
ゾウムシの天敵



2001.4.12(風の強い一日)
「ゾウムシの天敵」


薔薇の葉がすっかり展開し、球根花達に豊かな緑の背景を提供している春の庭である。冬の寒さのためか、今年はアブラムシの発生がおとなしい。たとえいたとしても、ヒラタアブの幼虫達(写真下)の活躍でいつのまにか陰を潜める。早春から、ひっきりにしに庭を訪れたヒラタアブ達は、小さな白い卵(写真左)をたくさん薔薇の葉の上に産み付けておいてくれた。嬉しいことに、年々その数は多くなってきている。

2月に続いて、4月のはじめにも米ぬかを薔薇のボーダーに撒いた。薔薇の根元、素手で掘れる程度の地表のごく浅い部分に、一握りの米ぬかをさーっと手で直接混ぜ入れていく。前回の効果が出ているのか、土の感触がすこぶるよい。手袋をしなくてもちっとも気持ちが悪い感じがしないのだ。追肥についてだが去年までは有機質肥料を大量に開花まで毎月施していたのだが、今年は最小限とし、2ヶ月に一度バイオゴールドというペレット状の有機肥料を撒くだけとしてみた。しかし、今の所薔薇の葉の展開も蕾の付きもすこぶる順調で、充分肥料は足りているように見える。

今年植えたばかりの白バラグラミスキャッスルにうどんこ病がついた。薔薇は、数年たつとあまりうどんこ病にもかからなくなるのだが、植えて2年ほどは特に要注意だ。早速、木酢液ににんにくを漬けこんだ物を希釈して噴霧する。数日おきに噴霧していくと、うどんこ病はおさまっていくはずだ。

展開したばかりの薔薇の新芽を良く観察していると、所々しおれてうなだれているものがある。よく見るとそのしおれたところの付け根の辺りに小さな黒い痕があり、ときにはゾウムシの姿を見つけることもある。ゾウムシは、葉や蕾の付け根付近をまずかじって葉先や蕾をしおれさせ、そこに卵を産む。しおれさせるのは、生まれてきた幼虫が餌として食べやすくするためだそうだ。このしおれた葉を見つけるたびにこまめに摘んでいく。けっして、その葉を地面に捨てたりはしない。ポケットに入れておいて、家の中で処分する。次の世代のゾウムシをできるだけ発生させないために。

ゾウムシの天敵は、誰だろうとよく思う。アブラバチやヒラタアブはアブラムシの天敵だが、そういった天敵がゾウムシにもいてもいいはずだ。もし、私の庭にも来てくれたらどんなにか頼もしいことか。しかし、卵を産んだ葉をことごとく摘み、親を見つけるとすかさずテデトールするのは私のような薔薇の栽培家。このような人達こそがゾウムシの天敵なのかもしれない。



2001.3.20(ぽかぽかよく晴れた一日)
「シジュウカラふたたび」
先週末のことだったか。外出から帰ってみると、近頃としては珍しく庭に夫の姿。何をしているのかしらと見ると、なんとシジュウカラの巣箱を取り外して、底にドリルで通風のための穴を開け、はずれて落ちていた止まり木を付けてくれている…。去年の秋からずっと頼んでおいたことだ。もう、やってはもらえないとあきらめていた。外された巣箱の中を覗くと、もうすでに巣作りを始めた形跡。片隅に藻や柔らかい草がかためてあった。よりによって、こんな時期にと、つい強い調子で夫に抗議する。夫は夫で、シジュウカラは、そんなに神経質ではないよと、涼しい顔。

それから10日ほど経った今日。
ぽかぽか陽気に誘われたパンジーやビオラがいっせいに咲き始め、コンテナの移動をする。しばらく風邪で調子が悪かった下の息子も外に出てきて、小さなアイリスにビーズを乗せて遊んでいた。そこに、シジュウカラの声。見ると口先にふかふかした草をたくさんくわえて、近くの梢にじっと止まっている。急いで息子に声をかけ、アーチの下のあたりでじっとかがんでいると…。さっと飛んできてあっというまに草をくわえたまま巣箱に飛びこんだ!夫の作業にもめけずに、巣作りを続行してくれていたのだ。

いっせいに芽吹いた薔薇の芽かきをしていると、どこからかヒラタアブが飛んできた。アブラムシの姿も見かけた。冬の間よく葉のあいだに潜んでいたバナナ虫も、よく見るようになった。虫たちが起きだして、庭の餌場を訪れる小鳥達も少なくなってきている。これは巣作りに励むシジュウカラにとっては好都合だが。一足飛びに庭は春へと向かっている。


2001.3.5(春の嵐のあと)
「米ぬかパワー」
地面の底までしみわたりそうな、大雨のあと、からりと晴れた庭に出てみる。一重のアネモネ、クロッカスたち、お約束の球根たちが次々と開花し始めていて。

半月ほど前に米ぬかを表層に撒いた庭の土がどう変化しているか気になるところ。先週、雨が降る前にそーっと土をほじってみたときには、土の表層に5ミリくらいの締まった層ができていて、まるでチョコレートのようにポロっとはがれた。今日は、その層がより厚くなっている。土の表面をぐっと手のひらで押すと、泥どろした感じがまったくなく、動物の肌のように引き締まって弾力がありなんとも気持ちがいい。特に雨上がりの暖かい日差しが当たっている部分は、ぽかぽかしていてなんとも言えない安心感が土から伝わってくるのだ。まるで生きているもののように。

庭に撒くのと同じ時期に2次醗酵中の堆肥バケツの中にも米ぬかをふりかけておいた。そーっと蓋を取ってみると、真っ白な菌糸がびっしりとはえている。
菌糸を持ち上げてみると、庭にできているのと同じような固く締まった層ができていて、その下の堆肥には、霜降り状に綺麗な菌糸がまわっていた。かき混ぜて見るとやはりふかふかと弾力がある。

庭土には、今のところ菌糸の発生は見られないが、今後気温が上がっていくに連れてさらに劇的な変化が見られるようになるのかもしれない。堆肥バケツの中の土のように菌糸が霜降り状に庭土の奥深くまでまわっていくのだろうか。

いずれにしろ、庭土の弾力は、ただ事ではないような気がする。土が呼吸を始め、生き物のように振舞い始めた、そんな感じである。

実験はまだ始まったばかり。注意深く見守りたい。
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