12月

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「春に向けて」


「春に向けて」 2003.12.23
 
 冬至を過ぎると少しづつ陽に力が戻り、夕暮れ時も明るさを取り戻していく。これからが寒さも本番なのだけれど、庭仕事にも張りが出る。
 冬は、薔薇を育てる者にとっては、一番忙しい季節。春に向けての土作り、そして誘引剪定の作業には、まさに、「創る」という文字がぴったりだと思う。この二つの作業の出来具合で、春の開花が決まる。
 
 今年の土作りには、「堆肥マルチ」という考え方を応用してみた。土の表面に微生物が好む資材を撒き、堆肥でマルチングして微生物が活動しやすい環境を提供するという考え方だ。
 まず土の上に撒いたのは、元肥となるであろう草木灰・ようりん・バットグアノ。その上にカニガラペレット・ボカシコンブペレット・ヤシガラ活性炭を撒く。そして、米ぬかを一面にいつもよりたっぷりめに撒いて、仕上げにわら堆肥でマルチングした。
 主な資材は、インターネットで、有機肥料を専門に扱うお店から取り寄せた。農家相手のお店なので、一袋づつ頼んでも一度に使うには量が多すぎるのだけれど、余った分は保管しておいて夏の元肥に使う。
 もし、私の考え方があたっていれば、堆肥の下では適度な湿度が保たれて微生物が盛んに活動し、良い菌でいっぱいの表層土ができあがる。さらに菌は土を耕しながら下層部へともぐっていってくれるはずなのだけれど。そしてそれは、うどんこはもちろん、黒点にも負けない菌環境をめざしての試みでもある。
 そんなことを思いながらの作業は、たいへんだけれどもとても楽しい。わくわくする。小さな小さな庭だけれども、オーガニックな薔薇づくりへの挑戦はこれで終わりということが無くて。

 剪定・誘引は、毎年のことながら、一日で終わるということはまず無い。今年は、植えたばかりの薔薇苗が多いので、剪定・誘引の作業もさほど大掛かりではないけれど、パズルのように、限られた空間に枝をおさめていく。
 良く伸びたシュートを愛でながら、枝を切ったり結わえたり。この時期が、一年のうちで一番心楽しい季節と思う。春の姿を心に描きながら、思いのままに薔薇を扱っていく、まるでオーケストラの指揮者になったような気分だ。
 
 できれば年内には、誘引はあらかた終えて、年明け早々には鉢薔薇の植え替えをやりたいと思っている。それが終わればもう、春を待つばかりだ。

 今年の冬はとりわけ暖かい。コンテナのビオラの開花も早ければ、チューリップなんかもう子鬼のような芽を覗かせている。薔薇の足元にたくさん植えた小さな球根花たちもそろそろ芽を出していて。寒咲き水仙ももう咲いた。この分だと薔薇の葉が展開してくるのも早そうだ。年々、季節が読めないと感じている。

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