まずは土作りから


無農薬で育てる庭にまずかかせないのは”生きた土”を造ること。
微生物やミミズがたくさん棲む”生きた土”で育てたバラは
とても丈夫で害虫や病気に負けません。

”生ごみ堆肥などの有機肥料を使って土を元気にしてあげれば、
苗自身も元気になります。
土の中の微生物たちの活動が活発になり、
苗の成長を助けてくれます。
化学農薬をやめれば、苗のストレスがなくなり、
苗自身が逞しくなってきます。
これまで害虫と一緒に死んでしまっていた益虫たちも蘇り、
害虫をやっつけてくれるようになります。
こうしてすべてが好循環になってくるのが、無農薬有機栽培。”
とは、kajinyさんの掲示板"Tea Time"での発言です。
とても論理的で説得力がありますね。

自家製コンポストについて

これが、台所の野菜くずを利用して作った自家製コンポスト(生ゴミ堆肥)です。数ヶ月熟成させたものはふかふかの土のような状態。臭いもほとんど無くて。

この堆肥を庭に使うようになってからというもの、植物に虫がつきにくくなりました。生長もたいへん良くなり、液肥などの追肥も必要としなくなって。土を肥やすミミズが大量に増えたのもいうまでもありません。

作り方は、簡単です。土と微生物の力を借りて有機物をある程度時間をかけて分解してもらえばよいのですが…。











最もてっとり早いのは、庭に直接穴を掘って台所から出る生ゴミを埋めて行くやり方です。土がむさぼるように野菜くずなどの有機物を食べてあっという間に形がなくなります。

が、うちの庭のようにコンポスト用に空けておける地面のスペースが無いような場合は、それぞれの家庭のライフスタイルに合った工夫が必要ですね。コンポスト作りの方法についてはいろいろな本が出ていますし、醗酵促進剤を買えば堆肥の作り方がついてくるのでそれを参考にしながらいろいろやってみれば自分に合ったやり方がきっと見つかるでしょう。100人いれば100通りのやり方があっていいのでは…と私は思います。

右上の画像はぽっとさんが作った自家製コンポスト、生ごみ堆肥です。どうですか、とってもよくできているでしょう。どんな工夫があったのか、ぜひお聞きしたいですね。と思っていましたら、ぽっとさんは、生ゴミ堆肥奮戦記をアップされました。堆肥の画像から、堆肥のページに直接リンクしています。ぜひぜひご覧下さい!

次に、少しでもみなさんの堆肥作りの参考になればと思い、ここに私のやり方を紹介します。

@材料について
私は、堆肥にするのは野菜くずと果物の皮が主体です。お茶ガラやコーヒーかすも使えます。卵の殻も分解が遅いのですが入れています。カニ殻を堆肥にするととても良いということを聞いてますので、カニを食べた後の殻も小さく刻んで入れています。食べ残しも基本的に堆肥にすることが可能だそうですが、私は塩分が気になるので入れていません。洗剤がついてしまったものも同様です。台所の洗い場の片隅に堆肥専用の三角コーナーを置いてそこに1日分の材料をためています。

A嫌気性醗酵の段階
密閉できる堆肥作り用のバケツに@の材料を一日一回入れます。そのときに醗酵促進剤もいっしょに入れて良く混ぜ合わせておきます。材料の水分を充分切っておくことがポイントです。10日ほどでこのバケツがいっぱいになるので3個バケツを用意して約1ヶ月間、この密閉状態で醗酵させるようにします。充分醗酵が進むと蓋をあけたときに漬物のような臭いがしてきます。それほど強い臭いではないので台所の勝手口のすぐそばにバケツを並べて置いています。最近では、発酵促進剤の替わりにより安価な米ぬかを使用しています。米ぬかでも、促進剤と全く変わらない効果を得ることができます。

右の写真の右下隅に写っているグリーンのネットは、母が野菜などが入っている網を利用して作ってくれた虫除けの帽子です。醗酵によって生じたガスがたまるとポンと蓋が開いてしまい、そこから虫が卵を産みに侵入してしまうのを防ぐためのものです。余談ですが後ろは一坪菜園。レタスやロケット、バジル、コネギ、パセリ、そしてキュウリなどを育てています。冬にはここで育てたブロッコリーがお弁当などに重宝でした。もちろん、自家製コンポストをたっぷりと使用しています。


B熟成の段階
嫌気性醗酵がすめば、根に直接触れなければ土に入れることは可能なようですが、私はさらに熟成させてから使っています。まず、45リットルのふたつきポリバケツを5個用意し、底にきりで穴を十数ヶ所あけ水がきれるようにしました。そこに、Aで醗酵させた材料とコンテナの古土を等量ずつサンドイッチ状に入れていきます。このとき米ぬかもいっしょに投入するとあとで真っ白な菌糸が出てより良い状態で発酵が進みます。また、土は、あらかじめ良く日に当て、乾かしておくと材料から出た水分の調節に役立ちひどい臭いがするのを防いでくれます。最後に土でしっかりと材料を覆い、蓋をして家の北側の軒下に置いています。約1ヶ月でバケツが一ついっぱいになるので5つのバケツすべてがいっぱいになる5ヶ月後には、最初のものがとても良い状態になっています。
この段階では、いろんなトラブルが発生します。まず、臭いについてですが、これは、投入した生ゴミの水分が多いとひどくなりがちです。特に夏場は近くによると臭いが気になることがあります。そんなときは、乾いた古土を混ぜて水分を調節したり、米ぬかを投入したり、上からジョーロで木酢液を薄めたものをかけてやります。発酵がうまく進んでいるとそうひどい臭いはしないものです。次に困るのは虫ですが、これも恐れることなかれ、石灰(苦土石灰でも良い)を少量、ぱらぱらっと上からかけてやると虫はいなくなります。殺虫剤は残留するのでお勧めできません。虫も、カビも本来は堆肥化を促進してくれるものですので、出たからといって決して失敗ではありません。堆肥が完熟すると、自然と虫もカビもなくなります。このようにして充分熟成させると上の写真のような極上堆肥ができあがるのです。

生ゴミの分解を促進し、臭いを抑えるためには、古土のほかに、牛糞やバークなどの堆肥(生ゴミの半分程度)、枯れ葉や腐葉土(生ゴミと等量)、米糠(生ゴミの10%以下)を入れると良いようです。古土があまりでないという方は、このような資材を生ゴミと共に投入されると良い結果が得られるでしょう。また、炭の粉(生ゴミの10〜20%)も臭い対策と水分の調節にとても良いそうです。



ミミズの利用
お向かいのKさんのお勧めもあって、堆肥作りにミミズを利用することを思いつきました。何でも欧米ではミミズを使った堆肥作りのほうが主流だとか。私は、すべてミミズに頼る堆肥作りの設備を用意できませんので、とりあえず、今使っている堆肥作りのバケツ(上のBのもの)に入れてみることにしました。あまり熟成していないものだとガスが発生していたりしてミミズにダメージを与えると可愛そうなので、ある程度熟成が進んでいるものに釣具やさんで調達したシマミミズをひと箱入れてみたのです。庭のフトミミズよりシマミミズの方が有機物を好み、堆肥作りには適しているとか。しばらくして蓋をあけると小さかったミミズたちがたいへん太く長く立派に生長しているのには驚きました。堆肥のかさもぐんと減っています。臭いもしなくなり、ほんのり土の匂いがしています。ねらいどおり、ミミズくんたちは堆肥作りに一役買ってくれそうです♪

上の写真で、バケツのふちに張りついているのが彼らです。雨の後など、空気が湿っているとこのようにして表面にでてきます。蓋をあけるとさっと、驚いたように土の中にもぐりこんで行く子もたくさんいて。

今現在は、堆肥バケツにはミミズは入れていませんが、なかなかおもしろい試みなので機会があったらぜひまた試してみたいと思っています。

ミミズの利用については、次のページがおすすめです↓
その名のとおり、ミミズコンポスターのためのページです。
ミミズコンポストのすべてがわかります!




肥料が少なくて済むような庭をめざして…

【2000年以前の施肥計画】
このようにして作った自家製コンポストを以前はバラの冬の元肥はもちろん、お礼肥えや夏の元肥の時にもたっぷりと施していました。西側の混植ボーダーにも年に一度、冬にたっぷりと撒き、一年間ほとんど追肥無しで維持することができました。草花のコンテナ栽培では、鉢底に三分の一ほど堆肥を入れてその上に用土を入れパンジーなどの苗を植えこんで育てると、アブラムシがつかず、密植しても花数多く咲いてくれます。
また、自家製コンポストほかに、バラには3月〜11月ごろまで毎月追肥に有機肥料を与えていました。バラの栽培書には、たいてい、元肥は有機、追肥は化学肥料でと書いてありますが、土に棲むミミズや微生物たちのために、あえて追肥にも有機肥料のみを与えたのです。内容は、完熟油粕、完熟骨粉、草木灰を等量混合したものをシャベルで2〜3杯ほど。時々これに炭の粉や籾殻くん炭、よう隣などもまぜて施しました。ただ、冬の元肥のときだけは、ゆっくり分解してほしいので熟していない油粕や骨粉を使いました。(2000年の”庭日記”にも作業の記録を入れていますので、よろしかったらご覧ください。)自家製コンポストや有機肥料を施したら必ずジョーロで木酢液を薄めたものをたっぷり土に撒いておきます。臭い対策と分解の促進がねらいです。少しすえたような有機物の臭いがこれでぴたりとおさまります。

【2001〜2年の施肥計画】
庭造りの最初のうちは、上記のような施肥計画で行なっていたのですが、数年前からバイオゴールドという有機発酵肥料を上記の肥料のかわりに使うようになりました。燐酸分を補うために骨粉などといっしょに2ヶ月に1度のわりで施した所、良好な生育を示しました。

【2003年以降の施肥計画】
そして2003年くらいから、施肥はできるだけ控えめにするようになりました。生ごみ堆肥も今ではパンジーなどのコンテナのみに使い、薔薇の花壇や鉢には使っていません。ただし、薔薇を抜いてそのあとすぐにまた違う薔薇を植えるときなどは、生ごみ堆肥をたっぷりと入れて土作りをしてから植え付けます。冬の元肥えも最小限で、わら堆肥やカニガラと米ぬかなどを撒くだけで、油粕や骨粉などの肥料は全く入れていません。ただし、追肥としてバイオゴールドを水に溶かして液肥にして、米ぬかや木酢液とともにジョーロで薄めて毎週水遣りも兼ねて撒いています。私の庭では、最初のうちは多肥栽培でしたが、年が経つにつれて肥料控えめでもよく薔薇が咲くようになりました。それは、生ごみ堆肥や米ぬかなどの有機物をたっぷりと投入した結果、微生物やミミズが豊富な庭になってくれたためではないかと思っています。

【2006年から始めた発酵肥料作り】
腰を痛めたために、バケツを使った生ごみ堆肥づくりをやめ、かわりに高温バイオ式の生ごみ処理機を導入しました。この処理物などを使って、発酵肥料づくりをやっています。雑木林や庭から採取した善玉菌を元だねに作る肥料ですので、高価な有機肥料を購入しなくてもすむようになりました。完熟した発酵肥料はアミノ酸や善玉菌の塊のようなもので、即効性があり、少量でもよく効きます。

米ぬかの利用
微生物の力を借りて、土を上から耕していくために、定期的に米ぬかを撒くことを試みています。。
春、桜が咲くころ、夏は入梅のころ、秋は八月下旬、冬は木々が落葉する前にそれぞれ菌の種類が偏移して活発になっていくので、米ぬかでそれを応援してやるのです。春に撒くと、土の表面にチョコレートのように固く締まった層ができて、まるで動物の肌のような弾力が出てきます。夏に撒くと、赤玉土のように庭土が見事に団粒化します。今の所、いままで夏以降どうしても悩まされていた黒点もおとなしくなり、米ぬかの効果を実感しています。(詳しくは、庭日記へ
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