米ぬかパワー2


米ぬかのパワーを大きく引き出してくれる、
kajinyさんが2002年に提唱してくださった
米ぬかジョーロ作戦(略して”米ジョー作戦” ^^)。
米ぬかを水に溶かして撒くというこの方法について、
私の庭でもずっと、様々な試行錯誤をしてきました。
米ぬかの利用を始めて早4年目。
そろそろ、こんなふうにしてやればいいのではという
私なりの”米ぬか撒きスタイル”が見えてきました。


 米ぬかは、様々な栄養素に富み、植物の肥料となるだけでなく、土中の微生物(善玉菌)を活性化し、病気を抑制するという働きがあります。この米ぬかを積極的に土に撒いていくことによって、私の庭では、漢方薬などの保護薬すらあまり必要と感じないくらい、薔薇を健康に育てることができるようになってきました。
 では、どのように撒いていくのが一番効果的なのでしょうか。私なりの考え方と方法を記していきたいと思います。

【キーポイントは、善玉菌と木酢液 そして堆肥マルチ】

 米ぬかを撒いて庭の菌環境を整え、バラを健康に育てるためのキーポイントは、善玉菌と木酢液、そして堆肥マルチの3つではないかと私は考えています。

 まず、善玉菌。これは、良質の堆肥や微生物資材などに含まれており、土中で増やすことにより病気を抑制し、植物を健康に育てるための手助けをしてくれます。米ぬか自体にも、おそらく善玉菌が含まれていると考えられますが、さらに何らかの形で善玉菌を加えることで、米ぬかの栄養をもとに菌がパワーアップし、土壌を良い菌でいっぱいの病気を抑制する力を持つ土に変えてくれるのではないでしょうか。

 次に、木酢液ですが、これは、薄めで散布することにより、土中の善玉菌を爆発的に増やすという働きが知られています。また、特有の臭いにより、米ぬか目当てにやってくる鳥獣の被害を防ぐ効果が期待できます。

 そして、仕上げは、堆肥マルチです。米ぬかでせっかくパワーアップした善玉菌も、適度な湿度と通気が保たれなくては、活動を続けることはできません。そこで、米ぬかを撒いた上から堆肥などでマルチし、ちょうど米ぬかを撒いた地表面のあたりの湿り気を保てるようにするのです。実際そうしておくことで寒い冬の間からでも堆肥の下には右の写真のような白い菌が元気に張ってきました。(2004年1月25日撮影)もしかしたら、米ぬかパワーは、堆肥マルチによって、完成するのではと最近になって強く思うようになってきました。


【実際の作業】

 さて、上記のような考え方に基づいた私なりの”米ジョー作戦”を具体的に紹介しましょう。

@ 12月頃に、薔薇のボーダー全体の地表面に米ぬかを散布し良質な堆肥でマルチしておきます。撒く米ぬかの量は、普段うっすらと撒いているよりも幾分多めに。小さな庭全体で、5キロ以上は撒いたでしょうか。私は、今年(2004年)、カニガラや炭、ボカシコンブペレットなどの善玉菌が好む資材も米ぬかといっしょに撒いておきました。
 撒いた後で、木酢液を水で100倍以上に薄めたものを庭全体に撒きます。鉢にも同じように、米ぬかを撒いた上から堆肥でマルチし、薄めた木酢液をかけておきます。
 東京では、冬場は乾燥した気候が続くので、堆肥が乾き過ぎないようにときおりマルチ全体に潅水し、特に堆肥の下、地表面との境あたりの湿り気を保てるようにします。こうすることで、冬の間からでも、堆肥の下の地表面では菌が活動を始め、上の写真のような真っ白な菌糸を伸ばし始めます。

A 寒さが少しやわらいだ2月下旬ごろから、いよいよ”米ジョー作戦”開始です。私は6リットル入るホーズのジョーロを愛用しているのですが、まずジョーロの蓮口をはずします。
 ジョーロの中に、米ぬかを軽く3握りほど入れて、水を少し注ぎます。この時点でよくジョーロごと振って米ぬかを溶かしておくことがポイント。ココアや粉ミルクを溶かすときと同じ要領です。米ぬかは水に浮いてしまいやすいので、最初から水をたくさん入れるとうまく溶けず、難儀してしまうのです。
 さて、次に、木酢液を10〜50ccほど、それから、バイ○ゴールドで作った液肥を300ccほど入れて、水を注ぎ、5リットルにします。この液肥は、バイ○ゴールドひとつかみを1リットルの水に1週間つけて溶かしたものです。バイ○ゴールドは、良質の有機発酵肥料なので、肥効と善玉菌を期待して入れています。また、木酢液の濃度は、100倍〜500倍程度の薄めと考えています。木酢液は、薄いと微生物を増やす働きをしてくれるのですが、濃いものは逆に殺菌に働きます。ですから、普段は10〜20cc程度(500倍〜250倍)でよいと思うのですが、スズメが来て困るという場合は、100倍程度(50cc)とされるとよいかもしれません。木酢液は、その独特の臭いでスズメの来襲を防ぐという効果も期待できます。(倍率は、木酢液の製造元によっても違うので、ラベルの表示などを参考に調整してください。)

B このようにして作った米ぬか汁を、鉢には下から軽く水が染み出すくらいに与えます。地植えの薔薇には、5リットルにつき1〜2平方メートルくらいの割合でボーダー全面にまんべんなく撒いていきます。撒く頻度は、1〜2週に1度の割合。追肥と水遣りをかねて、シーズン中続けていきます。ただし、酷暑の時期は、控えめにします。
 この”米ジョー作戦”によって、冬の間に形成された、堆肥の下の菌層をたえず元気付けていくようにします。

C 米ぬか撒きをすると、特に鉢栽培では、表面ががちがちに固くなってしまい、水はけが極端に悪くなって困ることがあります。しばらくそのままで様子を見ていると、あるときすっと水が通るようになり、かえって水はけがよくなるのですが、がちがちの間はたいへんです。
 そこで、植え替えのときに、ウォータースペースをしっかりととっておくようにしています。また、米ぬかの量が多すぎると、がちがち度も高いように感じていますので、特に鉢栽培では、うっすらと撒くということを基本に考えています。

D うどん粉病が一番発生しやすい春先には、米ぬかを庭全体にぱあっと撒いておきます。新芽のときから葉に善玉菌が元気に棲み付いてくれるように、葉にもしっかり米ぬかがかかるくらいの方がよいでしょう。また、黒点病の広がりを防ぐという目的でも、米ぬか撒きの効果が期待できます。庭のバラたちに黒点病の気配を感じたら、葉面に軽くかかる程度に米ぬかを撒いておきます。そうすると、黒点が出ている葉でも、緑のまま木にとどまってくれたり、広がりもかなり抑えることができるように経験から感じています。

E さて、最初の薔薇の開花が一段落した6月の初旬、冬に行ったのと同じように、米ぬかを庭全体に撒き、堆肥でマルチしておきます。ただし、堆肥のマルチは、土の表面にたくさん有機物が残っていたら省略しても大丈夫です。100倍以上に薄めた木酢液の散布も忘れずに。炭やボカシコンプペレットなども、冬に撒いたものが残っていればいっしょに撒いておきます。これからむかえる高温多湿な夏に備えるための準備です。
暑い夏を越すと、有機物はほとんど分解されて、土の表面はまるで赤だま土を敷き詰めたような状態になっています。そこで、夏剪定を行った時に出るバラの剪定枝など庭から出る有機物や、堆肥などで再びマルチをします。もちろん、そのときに米ぬかも一緒に撒くこともお忘れなく!

米ジョー作戦と米ぬか撒きは、並行して行っておくとさらに効果が高いように感じています。
私は、季節の変わり目(冬・春先・入梅のころ・少し暑さがやわらいだころ)に米ぬかを庭全体に撒いています。量は、私の庭で一度に5キロくらいのです。
撒く時は、ぱあーっと派手に花さかじいさんをイメージして撒きましょう。
葉を痛めないためには、よく葉が乾いている晴天の日がよいです。
濡れている葉に米ぬかが付くと、葉に黒い染みができてしまうことがあります。
花さか爺さん撒きをして葉に付着した米ぬかは、水を撒いたりして軽く洗い流しておくとよいでしょう。
米ぬかといっしょに水分を補給しておくとと、白カビの発生を助けます。
また、水をかけてもほんの少し葉に残った米ぬかの成分が、うどん粉病や黒点病の広がりを防いでくれます。
それは、米ぬかが、葉面の善玉菌を元気付けて悪玉菌を押さえ込んでくれるためなのではと考えています。




【様々なアプローチ】

 さて、今までお話してきたような私なりの”米ジョー作戦”だけが、米ぬかパワーを引き出すための工夫ではありません。次に米ぬかを使ったその他のアプローチを紹介していきたいと思います。

kajinyさんの”米ぬか空鉢作戦” 2004年2月29日 Tea Timeでの発言より

yukikoさん、こんばんは!
「米ジョー」するには、まだまだ気温が低すぎますが、気の早いバラ苗は、もう葉っぱを展開しはじめましたねー。
そこで今回は、「米ぬか空っ鉢作戦」です。
空いている植木鉢に、堆肥を入れて米ぬかジョーロしてビニール掛けて一週間。
白カビが出てきたところで、葉っぱが展開している苗のそばに置いておきます。
ま、効果のほどはわかりませんが、、、。
ウドンコ防除は、先手必勝ということで。
白カビ米ぬかを、バラ苗の株元に少しずつ置いておく手もありますね。

この「米ぬか空っ鉢作戦」は、米ぬか発酵堆肥ほど手は込んでいませんが、かなり近いものがあると思います。おもにベランダなど地面のない方や、鉢中心でバラを育てていらっしゃる方に有効ではないでしょうか。これなら、米ジョー作戦失敗で、米ぬかが鉢の上で鍋蓋みたいにカチカチになる心配がないですからね。


 kajinyさんは、”米ジョー”されるときに近くのY公園で分けてもらえる落ち葉の堆肥を使ってらっしゃいます。この堆肥には、土着菌といって、もともとその土地の環境に合った善玉菌がたくさん棲みついている模様。その善玉菌が、米ぬかでいっきにパワーアップされて、写真のような白い菌のコロニーを形成してくれたのでしょう。このようにして作った白カビを、薔薇の鉢のそばに置いておいたり、また、地面に直接撒くなどすると、善玉菌が薔薇の葉の表面に付着して、うどんこなどの病気を防ぐのにきっと役立ってくれるでしょう。

 また、この作戦は、”米ぬか発酵肥料”作りとも共通する側面があります。
 米ぬか発酵肥料は、雑誌”現代農業”で紹介されていた、ぼかし肥料です。米ぬかに善玉菌が発生しやすい条件(温度・湿度・種菌など)を人工的に作っておいて、十分に菌を勢いづけた(発酵させた)ものなのです。この肥料を使うと、土中の菌の活動が活発になり、植物を健康に育てるのに役立ちます。kajinyさんが作られたこの白い菌の塊は、その発酵肥料と同じように土着菌が米ぬかによってパワーアップされていて、しかも手軽に行えると言う点で、たいへん有効なアイデアですね!

 この作戦を応用して、良質な堆肥に米ぬかをあらかじめ混ぜて白い菌を発生させたものをマルチに使うのもよい考えと思い、私も馬糞とわらの堆肥に米ぬかを混ぜて適度に湿らせ、白い菌が発生するまでしばらく寝かせておくことにしました。
 このように、米ぬかを使った作戦には、様々な工夫ができそうです。キーワードは、やはり、”米ぬかに堆肥・善玉菌”と考えています。

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