米ぬかパワー


農文協の「現代農業」(かの梶みゆきさんも愛読書とか…。)という雑誌の存在を
掲示板に来てくださる方から教えていただいたのは、
2000年の冬のことだったと思います。
「現代農業2000年10月号」によると、米ぬかを利用して、
土ごと発酵させるという農法が
とても注目されているというのです。
そこで、早速私も「現代農業」の定期購読を始めました。
そして、米ぬかの利用について理解を深めながら
実験的に薔薇栽培への応用をさぐってきたのです。


【堆肥作りへの応用】従来米ぬかは、堆肥作りに欠かせないものです。以前は発酵促進剤を主に利用し、米ぬかは使っていなかったのですが、試してみた結果、1次発酵では、高価な発酵促進剤などのかわりに米ぬかを使っても、十分な効果が得られると言うことがわかりました。2次発酵でも、古土・生ごみだけでなく、米ぬかをよく混ぜ入れてやるとまっしろな菌糸がはって、ふかふかの土に生まれ変わります。堆肥作りの途中で、水分が多すぎてべたべたしたり、悪臭がして発酵がうまくすすまないようなとき、乾いた土と米ぬかを追加してやれば、数週間で、よい堆肥ができあがりました。最近では、薔薇の剪定枝を古土と米ぬかで漬けこんで、堆肥が作れないかという実験を試みています。漬けて半月も経たないうちに、真っ白な菌糸がびっしりと張ってくれて、米ぬかのパワーを感じています。



【薔薇のボーダーへの散布】米ぬかは、それだけでも、窒素・リン酸・カリなどの肥料分に富んでおり、有機肥料として使えるそうですが、肥料成分以外にも、ビタミンやミネラルにも富んでいる為、微生物の栄養剤として格別の効果があります。土の中には、目に見えないたくさんの微生物が住んでおり、それぞれに植物の成長に欠かせない役割を担っています。米ぬかは、活動する菌の種類が交代する季節の変わり目ごとに散布するのが効果的だというので、その通り、撒いてみました。

まず冬、生ごみ堆肥を施したあと、米ぬかを地表面の土に軽く混ぜながら一面に散布したところ、土の表面がチョコレートのような塊の層になり、上から手でそっと押すと、スポンジのような弾力があって、はね返ってくるようになりました。春先に、米ぬかを散布すると、表面のチョコレートの層がさらに厚くなるとともに、動物の皮のようにひきしまり弾力が増します。入梅のころ、散布すると、今度は土がものすごい勢いで団粒化し始めます。真夏のころには、まるでボーダー全部が赤ダマ土で形成されているような感じになるのです。水はけもすこぶる良く、撒いた水は、すーっと土の奥底まで染みとおっていきます。少し、暑さがやわらいだころ、また米ぬかを散布します。すると、団粒化がさらに進んでいきます。やがて寒さが来て土の中の菌が活動を止めると、土は、いっきに肥沃化するのだそうです。このサイクルを1年続けた結果、肥料は今までよりもぐんと少なくて済むようになりました。また、雨が少ない年だったのも幸いしてか、まったくの無農薬にもかかわらず、秋になっても薔薇の葉が落ちず、花がたくさん咲きました。

米ぬかを薔薇のボーダーに撒くにはいくつか気をつけなければならないことがあります。まず、土に入れる深さですが、空気が届く程度に浅く撒いた方がよいということです。空気が無いところでは、発酵がうまく進まず、かえって植物に悪い影響を与えることがあるそうです。私は、米ぬかを撒くときはシャベルは使わず、手袋をした手で直接土に混ぜ込んでいます。もうひとつ、撒く量についてですが、塊になるほど大量に撒いてしまうと虫が発生して、害を及ぼすこともあるのだそうです。また、土の状態によってはかえって悪い菌を増やしてしまう結果にもなるとも聞いた事があり、最初から大量には撒かず、土の状態や植物の様子を見ながら量を加減して撒いていくのが安全かと思っています。

【土ごと発酵への挑戦】2001年の冬、もうひとつ大胆な試みを始めました。「現代農業」に掲載されている薔薇栽培農家の方なのですが、薔薇の剪定枝を直接薔薇の根元に置き、その上から米ぬかをふって土ごと発酵させ収量を上げてらっしゃるとのこと。薔薇の葉についた病気などのことを考えるとなかなか勇気のいることなのですが、これも私の庭で試してみることにしました。とはいえ、最初からそう大量に土ごと発酵させる気にはなりません。まずは、剪定ででた枝を少し、ボーダーに撒いて、上から米ぬかをふっておきました。枝に蓄えた栄養分でたくさんの花が咲くはずだったのですから、考えてみたら捨てるのはとてももったいないこと…。うまくいったら、もうしぶんないのですが。

さてその後のご報告ですが、薔薇の葉や枝を小さく切って撒くとちょうどいい空間が土の上にできあがり、微生物やミミズなどの小動物の住処にちょうど良さそう。このやり方を数年行なってみましたが、薔薇の葉や枝は土の上で見事にこなれて土になっていきました。また、そのためにかえって黒点病がひどくなるということもなく、逆に薔薇は丈夫になり夏に葉を落とすということも少なくなってきています。肥料も以前よりぐっと少なくて済むようになり、土ごと発酵の威力を感じています。

【米ぬかジョーロ作戦】「現代農業」を教えてくださったkajinyさんから、掲示板にこんなご報告をいただきました。「現代農業2002年6月号」を熟読されて、試みられたことですが、なんと、米ぬか散布によって、黒点やウドンコを押さえ込むことができたということなのです。

さて、いったいどんな方法で…以下は、kajinyさんのかきこからの抜粋です。

いやあぁ、「米ぬか地面撒き」いいですね〜。
あの白いカビのおかげでしょうか、
今シーズンは、ウドンコも黒点病もほとんどゼロで、
夏を乗り切ることができました。

またそろそろ撒かなくっちゃ。
ぼくは、米ぬかと落ち葉の堆肥を適度にブレンドして、
それを注ぎ口の広いジョウロに入れ、
水で撹拌してそのまま地面に撒いています。

こうすると、まわりの葉っぱなどに飛び散ることもなく
きれいに撒けて、
しかもカビの発生が早いような気がします。

落ち葉の堆肥は
代々○公園でつくっていて、
希望者に無料でわけてくれたモノを使っています。
これは、小枝のくずとか混ざっているので、
ざっとフルイにかけて細かいモノだけを使います。
米ぬかと混ぜてジョウロの水で撹拌して、
そのまま地面や鉢の中にジャ〜〜〜〜ッ!
すごく簡単なのでやってみてください。

ところで、yukikoさんはどんなサイクルで
米ぬかを撒いていますか?
ぼくは、春先と梅雨前と秋口といった感じ。
それでも十分効果があるような気がします。

撒いてから数日で白いカビがドヒャ〜〜ッと発生しますが、
びっくりしないでくださいね。
このカビ菌たちがバラの葉っぱに付着して蔓延し、
ウドンコ菌などの病原菌が付着する余地をなくしてしまうらしいのです。
藁や籾殻も一緒に撒くと、善玉菌の発生が促進されて、
もっと効果的だときいています。

代々○公園の堆肥は、
園内の木々の剪定枝や葉っぱを集めてつくってあるのものです。
ボクは春先に棒屋という西参道口にある売店で
無料で配っていたモノをごっそりいただいたのですが、
公園の管理事務所に申し出て取りに行けば、
在庫がある限り希望者に無料で配布してくれるそうですよ。
ぜひ問い合わせてみてください。
(小枝がけっこう混ざっているので
フルイにかける必要があることをいっておきましょう。
でも、無料だし、土着菌がたくさんついていそうだし、
文句はいえません)
で、馬糞は米ぬかとばっちり相性がいいようです。
なんてったって馬糞の中身には、
藁と籾殻がいっぱいですからね。

>あの白いかびが薔薇の葉に付着して、
その他の病原菌の蔓延を防いでくれているのですね!
はい、これ、例の現代農業に以前書いてあったんですが、
最初はボクも目からウロコでした。

いかがですか?!この作戦、私も早速試みて驚き…。まずは、撒きやすいことこの上なし、と言う感じ。米ぬかを均一に、土の表面にうっすらとした層になったように撒くことができるのです!!そして、ほんの1〜2日で、黒点病やウドンコ病を抑えてくれるという白い菌糸が土の表面一面に出現してくれて。これなら、米ぬかのパワーを最高に引き出せる(!)と、納得した次第でした。
ちなみに、うちの庭の場合、植物の残渣が土の上にあり、そこに土着菌がすでに集まっていると考えて落ち葉の堆肥は混ぜず、そのかわり、木酢液を米ぬかを溶かし込んだ水に少量加え撒いてみました。
日本文化の根っこにある”稲作”…そこから発生する米ぬかやワラ、モミガラをオーガニックな薔薇栽培に応用できるとしたら、これはすごい発見!と思わずにいられません。

さて、この米ぬかジョーロ作戦のさらなる実践と応用については、次の”米ぬかパワー2.3”の章で詳しくお話しましょう!
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