6月の作業

庭の様子

薔薇の開花も一段落し、庭はアジサイの季節を迎えます。
我が家では、アナベルと柏葉アジサイが庭の主役に。



ユリのつぼみがふくらみ、遅咲きのクレマチスも満開に。
薔薇は、勢いよくシュートを伸ばすもの、2番花が咲くものとまだまだ目が離せません。
お天気さえ良ければ、夕暮れ時は日が長く、6月ほど素敵な季節はないと思うのですが。

生き物たちの様子

初夏から巣作りを始めたコアシナガバチが、そろそろ元気に活動し始めます。
初めは、たった一匹のお母さん蜂が細々と巣を守っているのですが、



やがて子ども達が育ち、たくさんの蜂に囲まれるようになります。



コアシナガバチは、攻撃性はさほど高くなく、
よほどこちらから脅かさない限り襲ってくることはありません。
庭の片隅、毎年だいたい決まった場所に巣を作ります。
巣がある場所は、木陰や物陰が多く選ばれ、
巣作りに気づいたら、できるだけ刺激を与えないように注意して見守ります。

コアシナガバチは、頼もしい庭番です。
夏の間中、薔薇の葉裏を一枚一枚丹念調べ上げながら秋までイモムシを狩ってくれます。
彼らが庭に居ついてくれると、イモムシ退治のために、割り箸を持って毎晩庭をまわるということが無くなります。

このほかにも、早朝から庭に一族で来てくれるシジュウカラも、イモムシがおめあて。
イモムシがかじった跡があるのに、なぜか姿が消えているということは、
オーガニックな庭では、よくある光景です。

今月の作業

今月も、いつもの発酵肥料を一握りづつ与えます。
お礼肥えですから、いつもよりこころもち多めにあげてください。
6月は、シュートを得るためにとても大切な時期です。
シュートが欲しいもの、四季咲き性のよいものには、たくさんあげたくなります。
施肥の量は、薔薇の状態や要求に合わせて加減するようにしてください。
ただし、6月頃から急に気温も湿度も上がります。
このころからの施肥には注意が必要です。
地植えのものはともかく、鉢植えの薔薇には、
完熟した発酵肥料を与えるようにします。
手元に、冬に作ったものが残っていれば、
半年以上かけて熟成していますので、おそらく大丈夫でしょう。
もし、完熟したものが無い場合は、
鉢植えの薔薇には市販の良質な肥料を与えた方が無難です。
地植えの場合は、しっかり根が張った成木なら
熟成期間がそれほど長くない肥料でも大きな影響はないと思われますが。

また、ちょうど梅雨に入る今月は、
米ぬか撒きの適期です。
晴天の日に米ぬかをうっすらとバラの庭全体に撒きます。
春先と同じように、葉にもうっすらとかかるように。
そのあとで、箒の先でそっと米ぬかをはらうか、
水でやさしく洗い流すかしておきます。
葉に残る米ぬかは、ほんの少しでいいのです。
地面に撒いた米ぬかからは、
白カビが発生します。
善玉菌のコロニーですので、ご心配なく。
この善玉菌が、空中を浮遊して葉にも到達。
葉に残っているわずかな米ぬかを栄養にバラにも棲みつきます。
そのことによって、黒点病を広がりにくくしてくれるのです。
ただし、鉢植えバラには、
米ぬか撒きのシステムをよく理解し充分慣れてからでないと
かえって土を腐らせる結果になるので要注意です。
鉢土は限られた環境です。
そこに生の有機物を入れると、
発酵で根を傷める恐れがあります。
初心者の方は、鉢には撒かない方が無難です。

うどん粉病に変わってこの時期から猛威をふるう黒点病ですが、
上で述べたように、米ぬか撒きである程度は制御できますが、
完璧にはいきません。
黒点が出ても、黄色くなって落葉するまでは、
光合成の役に立つので、むしらず大事にしてください。
剪定の方法も、折り曲げ剪定を活用して、
葉を1枚でも大切にします。
また、黒点が出ても、新しい葉が次々と出るようにすれば
バラの体力は落ちませんので、
追肥を欠かさずにして、葉を保てるようにしてください。
つるバラや一季咲きのものは、
多少坊主になっても、元気なシュートが確保できれば
来春の花付きにはさほど影響がありません。

さて、このあたりで、土ごと発酵のシステムについて説明をしてみましょう。

土ごと発酵では、図のように季節によって菌がリレーしていきます。
さまざまな菌が季節や温度によってリレーしながら有機物を分解していくことで、
土壌は、肥沃になっていきます。
この菌のリレーは、発酵肥料作りの過程においても、
実は、同じように起こっていることなのです。
自然界においてもこれは、同じシステムだと考えています。
ですから、誰も肥料をあげないのに、山々の木々が大きく育つのです。
それを担っているのが、土着菌というわけです。
発酵肥料作りも、土ごと発酵も、
自然界のシステムを庭に取り入れようとする農法という風に理解しています。




まず、晩秋に米ぬかを有機物マルチと一緒に撒きました。
マルチの下では、白い菌糸が張り、土ごと発酵がスタートしました。
春先には、米ぬか花さか爺さん撒きで、葉にもかかるよう、米ぬかを庭一面に撒きました。
うどん粉病の予防になるとともに、春先から本格的に活動を始める有用菌を応援します。
梅雨時は、乳酸菌が好む気候です。
米ぬかを入れるとどっと増えて、庭の掃除・消毒をしてくれます。
また、気温がさらに高くなってくると、納豆菌の仲間である枯草菌が活躍を始めます。
この枯草菌は、有機物をどんどん分解しながら、ねばねばの酵素を出し、
土を団粒化してくれます。
秋口にも米ぬか花さかじいさん撒きをします。
秋からまた働き出す乳酸菌や、秋の深まりとともに
土壌を肥沃化してくれる酵母菌を応援するためです。
撒く量は、いつものようにほんのうっすらと。
初霜がとけ始めたくらいと言います。
鉢薔薇には腐敗が心配なので、慣れた人でなければ、避けるのが無難です。
また、花がら摘みで出た枝や葉は、細かく切ってマルチに使います。
夏の間に菌や小さな生き物たちが分解してくれ、秋にはすっかり姿が見えなくなります。

この時期の虫に対しての防除ですが、イモムシ類は、
コアシナガバチやシジュウカラたちを味方につけることができれば、かなりラクになります。
もちろん、まずはテデトールが一番確実な防除法ですが。
心配なのは、カミキリムシや、コガネムシの産卵です。
どちらも薔薇の生死に関わります。
成虫を見つけたら、迷わず捕殺します。
産卵の予防には、ニームオイルを希釈して根もとに潅水します。
特にカミキリムシには、1メートルくらいの高さまで幹にしっかり染み込ませます。
カミキリムシの産卵予防には、株元を風通しよくしておくのも大切です。
卵は乾燥を嫌いますので、産卵シーズンにあたるこれからの季節は、
薔薇の株もとの草花を抜き取ってすっきりさせておくことです。
コガネムシに関しては、木酢液を染み込ませた炭の粒が有効との話も。
確かに用土にクンタンや炭を混ぜ、薄めた木酢液を潅水した年は被害にあいませんでした。
また、用土にパーライトを混ぜるという方法も有名ですね。
クンタンに木酢液とニームオイルをしみこませたもので
鉢をマルチしても、忌避効果が期待できます。
これから9月ごろまでは、株元を頻繁に観察して、木屑が出ていないか、
用土の表面が不自然にふかふかしていないかを見ることが大切です。
木屑は、カミキリムシの幼虫テッポウムシの被害にあったということ。
侵入穴を針金でつつくか、薬剤を注入してやっつけます。
念のため、ニームオイルを薄めて潅水しておくとさらに確実です。
用土の不自然なふかふかは、コガネムシの幼虫が発生していることを示します。
注意深く土を掘ってできる限りを捕殺。
発生直後は、鉢土の表面近くにかたまっていることが多いので、この時期を見逃しません。
その後、ニームオイルを潅水しておきます。
発生した鉢は、晩秋には必ず土替えをして、一掃します。


(シスターエリザベス)

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