2月の作業

庭の様子

ここ、東京の郊外でも、梅やミモザが咲き、春の訪れを感じ始めるころ。
庭植えのクリスマスローズも早いものは咲き始めます。
一緒に植えた小球根たちも少しずつ開花し、
陽だまりでの作業が心地よく、
本格的な春がますます待ち遠しい季節です。



生き物たちの様子

この時期まず気がつくのは、庭を飛び回るヒラタアブの姿です。


下の写真は、5月の頃の様子ですが、
黄色と黒の縞々模様のおなかがトレードマーク。
ホバーリングもお得意です。


(ジャクリーヌデュプレ)

数あるアブラムシの天敵の中でも、
一番早くから活躍してくれる頼もしい子です。
春先に生まれてくる幼虫はアブラムシの天敵で、
ものすごい大食漢。
バラの新芽に群がるアブラムシに喰いついては、食べ尽くします。
親のアブは、アブといっても刺すことはありませんのでご安心を。
上の写真のように、花粉を求めに庭にやってきて、
アブラムシが出そうな場所を選んで卵を産み付けてくれます。












下の写真の白い粒が卵。見事にアブラムシの近くです。











下の小さくて蛆虫のようなのが、
ヒラタアブ幼虫の赤ちゃんです。
この子を見つけたら、ぜひ大切にしてあげてください。



大きくなると、こんな感じです。↓
白いのは、
なんと食べられたアブラムシの抜け殻。







夏に家族でやってきて
庭のいも虫をたいらげてくれるシジュウカラも、
恋の季節を控えて、よく庭につがいでやってきます。
12月ごろから、ピーナッツリースをこしらえて
庭の木に吊るしておくと、
愛らしい姿をすぐ間近で観察できます。



12月に行った有機物マルチの下を観察してみましょう。

暖かくなってくると、
菌糸の様子もだんだん変化していきます。
12月の終わりから1月にかけて出ていた白い菌糸も
この頃には、もう姿を消しています。
白い菌糸が見られる時期は、
案外短いものだったりします。


今月の作業

今月の大仕事は、なんといっても月末のブッシュローズの剪定でしょう。
その剪定の時期に合わせ、芽だし肥として
晩秋に仕込んだ発酵肥料を施します。


発酵肥料は、即効性があるので、
芽出し肥として、有効です。
ただし、液肥や化成肥料ほどではありませんので、
芽だしの時期に合わせて
こころもち早めに施すようにしてください。

その施す時期ですが、
鉢植えでしたら剪定の1〜2週間前くらい、
庭植えの薔薇には、もう少し早めに3〜4週間前くらいがよいのではと思っています。
鉢植えは、水遣りを定期的に行いますので、
肥料が浸透して効き始めるのも早いと考えられます。
庭植えは、雨頼みなので、
乾燥する冬場(特に太平洋側)は、
撒いた肥料がなかなか地面に浸透していきません。
ですから、鉢植えよりも少し早めに肥料を施しておくのです。
雪国でしたら、降雪前か、
雪解けの頃に施すのがよいのではないかと思います。



庭植えの場合、施し方には、いろいろ工夫ができそうです。

まず一つ目のやり方は、株元の根が張っていくあたりに浅く穴を掘り、
発酵肥料を入れ、土をかぶせていく方法です。
空気が届くくらいの深さに、ばら撒かずに固まりにして数箇所に埋め込んでいきます。
量は、一株あたり、100グラムほど。
(10月のページに載せている肥料計算に基づいた1ヶ月の施肥量です。)
もちろん、株の大きさや成長度合いに合わせて加減してください。

もう一つのやり方は、
株元を発酵肥料でマルチするという方法です。
バラの周りにたくさん球根や宿根草などが植えてあって
容易に穴が掘れないという場合は、このやり方が適しています。
量としては、毎月、月初めに100グラムほどづつあげていけばよいのですが、
寒肥として2月に1株につき5リットルほど施してしまうというやり方もありかとも思います。
その場合は、追肥は不要です。
一季咲きのオールドローズやつるバラでしたら、元肥だけでおそらく充分でしょう。
肥料を根の近くに埋めこまず、マルチするというやり方ですと、
効き方が緩慢になると考えられますので、
剪定時期よりも少し早めに施しておいた方がよいでしょう。

鉢植えバラには、
鉢の大きさに合わせて、
もう少し少なめに施していきます。
8号鉢で、毎月シャベルにひとすくい程度の施肥でも
充分綺麗な花が咲きました。

いずれのやり方でも、紫外線があたらないように、
発酵肥料の上を必ず土や堆肥で覆うことが大切です。
元肥として発酵肥料でマルチする場合でも、
肥料の上から、有機物や堆肥で覆っておいた方がよいです。
また、マルチといっても、ふたのように株元を覆ってしまうのではなく、
何箇所かに固めておいた方が
表土がせんべいぶたのようにかたまらず、微生物も活性化しやすいです。



また、今月は、春に向けて自然農薬を仕込んでおくのにちょうどよい時期です。
自然農薬とは、にんにくや唐辛子など、
虫よけや殺菌に効果があるものを
木酢液や焼酎などに漬け込んでエキスを抽出したものです。
にんにくや唐辛子は、
抽出する液体(焼酎または、木酢液)に対して
重量で合わせて20パーセント位になるように入れ、
3ヶ月以上漬け込んでおき、
500倍くらいに希釈し、葉面散布します。
うどん粉病や、アブラムシに効果が期待できます。

より詳しい作り方や効果については、
「植物エキスで防ぐ病気と害虫」農文協
「無農薬で庭づくり オーガニックガーデンハンドブック」築地書館
などの書籍を
どうぞ参考にしてください。

それから、春先から芽吹く蓬の新芽を使って、
天恵緑汁も作っておくことをお勧めします。
これは、自然の活性液で、
ほうっておくとしゅわしゅわ発酵してくる程、
有効菌がいっぱいです。
蓬の生長点を含む葉の部分を夜明け前に摘み集め、
黒砂糖を重量で1/3程まぶし、
漬物器でぎゅっと漬けると、
1週間くらいで黒い汁が上がってきます。

この汁を500倍くらいに薄めて葉面散布すると、
葉が生き生きつやつやしてきます。
うどん粉病の予防が期待できます。

これらの自然農薬や自然の活性液は、
特にオーガニックへの過渡期の庭では、
心強い味方になってくれることでしょう。
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